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〜抜歯治療例(左) と 非抜歯(抜かない)治療例(右)の比較〜
上下顎前突(抜歯症例) 上下顎前突(非抜歯症例)
口腔内写真:上段は治療前、下段は治療後
側貌写真: 左:治療前、 右:治療後
抜歯治療例は、治療後に口唇の突出感がなくなり良好な口もとですが、
非抜歯(抜かない)治療例では、治療後も突出したままです。
実際の治療内容をご覧になられる場合は、それぞれの症例の画像を
クリックして下さい。
歯がすべて揃っていても、きちんと噛み合っていないのであれば、
咀嚼の効率が悪かったり、その他の問題を抱えたままの状態であると
考えるべきでしょう。
また、歯は、常に唇や頬や舌からの圧力を受けながら、現在の位置に
並んでいます。従って、無理矢理にすべての歯を並べてしまうことは、
これらの圧力のバランスに不調和を来たして、治療後の安定性が懸念
される場合が多いのです。
このように、矯正治療では歯を抜かざるを得ないことが多いのですが、
永久歯が生え揃って、歯を並べる上下の顎骨の成長が終了した成人と
違って、まだ成長の途中の時期にある学童期に治療を開始する
(T期治療)と成長を利用することによって非抜歯での治療が可能と
なることもあります。
例えば、下顎が小さく後退した上顎前突(”出っ歯”と呼ばれる歯並び)
では、下顎の前方への成長を促す装置を用いることによって、上顎と
下顎の前後的なバランスを改善できることがあります。十分な効果が
得られた場合には、永久歯を抜歯せずに並べることが出来ます。
上顎前歯部空隙と過蓋咬合を伴う上顎前突(T期治療+U期治療)例
上顎前歯部空隙と過蓋咬合を伴う上顎前突に対して、
上下顎セクショナルアーチと咬合挙上板を用いたT期治療で改善して、
その後、U期治療で仕上げの排列をして非抜歯で治療した症例です
上段:T期治療前 下段:U期治療後
詳しい治療経過をご覧になられる場合は画像をクリックして下さい。
また、上下の顎骨が小さくて、永久歯の前歯だけが生えかわった時点で、
これから後に生えかわる犬歯や小臼歯、第二大臼歯を並べるには十分な
スペースが無いと予測される叢生(”八重歯”、”乱ぐい歯”と呼ばれる、
ガタガタの歯並び)でも、少しずつ歯列弓(歯を並べる顎骨の土手)を
拡大していくことが出来れば、永久歯を抜歯せずに並べることが可能と
なることがあります。
上下顎前歯部叢生(T期治療+U期治療)例
将来は抜歯治療が不可避と思われた10歳の混合歯列期の叢生に対して、
8か月半の第一期治療によって叢生をほぼ改善し、
その後は永久歯の萌出と顎骨の成長を2年間観察を継続して、
12歳10か月から8か月間の第二期治療(永久歯の矯正治療)に
よって非抜歯治療を行った症例です
上段:T期治療前 下段:U期治療後
詳しい治療経過をご覧になられる場合は画像をクリックして下さい。
なお、矯正歯科治療における偶発症としては、歯肉退縮、歯根吸収、
齲蝕のリスクなどが挙げられます。 → 一般的なリスク・副作用
2.顎変形症の場合には、骨格性の問題をカモフラージュするための抜歯
治療は顔貌の改善が得られないだけでなく、歯を支えている歯槽骨に
とっても好ましい治療とは云えません。
不正咬合の原因が骨格に問題があるにもかかわらず、
歯だけを治療対象として(抜歯治療によって)咬合(=歯並び)を
改善することは、顎変形症の根本的な治療ではなく、
問題のある骨格をカモフラージュしているに過ぎません。
骨格には問題がない場合 問題がある場合 顎矯正手術を施行した症例
治療前 ⇔ 治療後 治療前 ⇔ 治療後 治療前⇔手術前⇔治療後
実際の治療内容をご覧になられる場合は、それぞれの症例の画像を
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しかも、顔貌だけでなく、歯(を支えている歯槽骨)にも無理がかかって
きます。例えば、骨格性下顎前突の場合には、下顎前歯は過度に舌側傾斜
(内側に傾けること)させることになりますし、一方、上顎前歯は過度に
唇側傾斜(前方向へ倒すこと)させることになって、歯を支えている歯槽
骨に対してまっすぐに植わっていないことになってしまいます。これが、
上顎前突の場合は逆向きになります。
いずれにしても、不正咬合の原因は、歯性と骨格性の二つの要因から成り
立っていることが多いので、骨格性の要因が大きい場合には骨格に対する
治療を考えるのが理にかなっているのです。
(⇒詳しくは顎変形症や治療効果をご覧ください。)
なお、顎変形症の治療に伴う主たる偶発症・合併症としては、
出血、知覚異常、後戻り、顎関節症、Progressive Condylar Resorption、
心理的不適応、閉塞型睡眠呼吸障害などが挙げられています。
そのため、治療開始前に起こりうる偶発症・合併症に関する十分な説明を
行って、インフォームドコンセントを得た上で治療を開始すべきであると
されています。
…日本口腔外科学会による顎変形症診療ガイドライン(2008年)
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